こころのチキンスープ④

 無料です。
 うちの小さな息子が、ある晩、キッチンで夕食の支度をしている私の妻のそばに来て、何か書いたものを渡した。妻はエプロンで手をふいて、それを読んだ。
 ・芝生を刈った・・・・・5ドル     ・自分の部屋を掃除した・・・1ドル 
 ・お使いに行った・・・50セント    ・ママが出かけたとき、弟のめんどうをみた・・・25セント  
 ・生ゴミを外に出した・・;1ドル    ・いい点を取った・・・5ドル   
 ・庭を掃除した・・2ドル   合計  14ドル75セントの貸し
 妻は返事を待って立っている息子の顔を見た。さまざまな思いが妻の脳裏をよぎっているようだ。つと、妻はペンを取り、その紙の裏にこう書いた。
 ・10ヵ月間、私の中であなたが育つのを待っていたのは・・・無料。
 ・いく夜も寝ずに看病をし、治るのを祈ったのは、・・・無料。
 ・この歳月、あなたのためにつらい思いをし、涙を流したのは・・無料。
 ・すべてを足してみても、私の愛の値段は・・無料。 
 ・不安で眠れなかった夜も、味わうとわかっていた心配事も・・無料。
 ・おもちゃも、食べ物も、着る物も、あなたの鼻をかんであげたのもの・・無料。
 ・それを全部足しても、本当の愛の値段は・・無料。
 読み終えた息子の目に、久しぶりの大粒の涙が浮かんでいた。彼はまっすぐに母親の目を見つめると言った。「ママ、ぼく、ママが大好き」 そう言ってペンを取ると、大きな字でこう書いた。
 「ぜんがく支払い済み」と。


 この話は10数年前に聞いたことがあり、感動したことを覚えている。愛情は無料ですね。

 
 慶州・半月城のコスモス